天野の賢象ダイアリー

2026/5/19

第2部ーAIと人手不足でサービスが薄くなる時代、信頼で選ばれ、繁栄し続ける企業の条件

Intelligence



前回に引き続き、「AIと人手不足でサービスが薄くなる時代、信頼で選ばれ、繁栄し続ける企業の条件」 第二部を書いていこうと思います。

本記事では、人手不足や効率化、そして消費者対応をめぐる価値観の変化を背景に、企業が本来担うべき説明や対応の負担が、少しずつ顧客側へ押し戻されている現状を見つめます。

問い合わせにたどり着けない仕組み、解約しづらい導線、不具合があっても実質的な対応が得られない体制。
そうした体験が積み重なることで、正当な不満さえ言い出しにくくなり、企業と顧客のあいだの信頼が静かに失われているのではないか――。

その問題を、具体例とともに整理していきます。

もくじ

  1. 「正当な主張」でも泣き寝入りさせる仕組みが増えている
    1. 「お客様は神様ではない」で、正当な主張まで封じられるようになった
    2. 安心と便利を売りながら、責任だけは引き受けない
    3. 「貴重なご意見をありがとうございます」で終わらせる責任回避
    4. 消費者に残る、「都合よくお金を取られた…」という感覚

3-1.「お客様は神様ではない」で、正当な主張まで封じられるようになった

10数年前までは、お客様は神様、という価値観が残っていました。
けれどこれはこれで、この価値観に便乗して、主張すべきではない領域にまで、上から目線で個人の権利を主張し利益を得る人を増やしてしまいました。
これは確かに不健全な状態です。

しかし、今となってはそれが見直され、それどころかさらに、加速して、売り手側、サービス提供者が少しでも気に入らない、その消費者に対峙しているスタッフが嫌だと感じたら、正当な主張であったとしてもクレーマー扱いをして追い払う、そんな状態になっていると思います。

現に、サービス提供者側の明らかな過失であっとしても、その過失の責任から逃げるようなケースもあります。

3-2.安心と便利を売りながら、責任だけは引き受けない

例えばこのようなケースです。

  • AIチャットやフォームしかなく、提示された選択肢内をどうどう巡りでやり取りが進まない。
  • FAQにないケースだったり、ITが苦手なゆえに電話で相談したいけれど、行政の窓口であっても何故かナビダイヤルしか設置されておらず、電話での相談のハードルが高くなっている。
  • フリーダイヤルが用意されていても、いつかけても繋がらない、繋がった途端に必ず切れる。
  • 解約したいのにリンクが見つからない。他の連絡手段も実質ない。
  • 初期の深刻な不具合やサービスの著しい欠陥があっても、「貴重なご意見をありがとうございました。いただいたご意見ついて真摯に受け止め今後の改善に努めて参ります。」と言われ、現状起きている企業側の過失や不良品への対応から逃げている。
  • 取引に関する大切な条件を消費者が気づきにくい複雑な方法で伝え、消費者が機会損失したあとに、大切な条件があることを伝えて、消費者が業者と情報の観点から対等に取引できなくしている。

このような事例からは、売ったら売りっぱなし、製品やサービスに対して全く責任を持たない、というような態度が透けて見えるようにも感じ取れます。

広告では、安心、快適、便利であることを魅力的なコピーと画像などともに提示し、それを享受できると信じ、判断した消費者が購入。

けれど欠陥があった場合には、なるべく対応しないように、消費者に運が悪かったと諦めてもらうように、
そして、正当なクレームでさえも黙殺するような体制にして、兎にも角にもお金を儲ける。

これって、結構ディストピアだと思いませんか?

3-3.「貴重なご意見をありがとうございます」で終わらせる責任回避

私は今の状態は、まるで、映画「エリジウム」に近くなっているように思います。
エリジウム 

エリジウムでは地球で生活している貧困層が頼る行政窓口にはロボット人形が置かれていて、全く対話が成り立たないストレスフルな対応しかしていません。

これは、今の何でもAIボットに対応させよう、に被って見えます。

このまま行けば、エリジウムとまでは行かなくとも、科学技術が発達しているけれども、AIとツールに頼りすぎた硬直したディストピアになってしまうように感じています。

3-4.消費者に残る、「都合よくお金を取られた…」という感覚

そして、この手の体験が積み上がると、消費者側は言語化していなくても、
「良いようにお金を取られた」、「検討する余地がなかった」、「逃げられた」
というモヤモヤ感を持たざるを得なくなります。

そして社会全体の空気が、ギスギスしていく。

見た目だけが美しくきらびやかな悲しいディストピアの爆誕です…

次回、2026年の日本で、なぜ日本のサービスは「温度」を失いつつあるのか?について言語化していきます。

 

天野 木蓮

大学院、大手製薬会社およびバイオ企業で20年以上,研究職に従事した科学者。

新薬開発における品質試験、国内及びFDAへの申請資料作成、GLP/GMP対応などに関わってきました。

現在は、これらの経験を活かしたWeb制作とライティング(企業サイト設計/導線設計/SEO・AIに強い記事制作)、および科学コンサルタントとして活動中。

母として家庭を支えつつ、理系思考を活かした論理的な視点から、「地球と時代が本当に求めている智慧」をテーマに、自然・人・技術の調和を大切にしながら、持続可能な豊かな社会の実現を目指す情報発信を続けています。