2024/8/8
企業のホームページが競合他社サイトと80%同じほうが良い理由
例えば、総合病院のホームページのナビゲーションメニューは、診療科の案内、病院の紹介、外来、入院、医療関係者の方へなどが軸に構成されています。
また、地域のクリニックや病院のナビゲーションメニューは、クリニックや病院の紹介、院長の紹介、スタッフ紹介、アクセス、診療時間を軸に構成されています。
大きな病院とクリニックのホームページの違いは、入院に関する項目があるか、そして、病院の院長からのメッセージやそこで働いているスタッフの紹介があるかです。
大きな病院では、病院という組織性、効率性が全面に押し出されたホームページになっているのに対し、クリニックでは、どんな人が医療を提供しているのかが重視されたホームページになります。
訪問者も、その違いを感じて、ホームページを見ただけで、これは大きな病院、これは地域のクリニックといった感じで無意識のうちに判断します。
これは、典型性を利用したホームページの構成デザインです。
今回の記事では、企業のホームページが業界の典型性を利用することで得られる効果についてまとめました。
1.典型性とは?
典型性とは、例えば、Amazonで水筒を検索したとします。
そうすると、一覧に表示される水筒は、保冷・保温性のあるもので、円筒形、フタはワンタッチで開閉でき、パッキンが取り外せて洗える、というものが多いと思います。
これは、水筒の典型性です。
この基本的な特徴を備えている水筒を見ると、人は、これが水筒であると認識でき、安心してこの特徴を備えた水筒を選ぶことができます。
つまり、典型性とは、あるカテゴリーやグループにおいて、その特徴を最もよく代表する特徴や要素のことです。
典型性が高いということは、その要素が他の同類の要素と比べて、よりそのカテゴリーの特徴を強く表していることを意味します。
水筒については、三角錐や、長方形のものは典型性が低い水筒ということになります。
このような水筒は、ユニークでオリジナリティがあるけれど、いざ購入して日常的に使おう、となるとハードルの高さを感じますよね。
2.製品における典型性が及ぼす消費者の態度と売上の関係
それでは、実際の消費者の態度と売上に関する典型性の影響はどの様になるでしょうか?
典型性に関しては、世界中で多くの研究結果が報告されています。
これらの多くは、物理的に存在する商品に関する典型性の研究です。
人が典型性を利用して商品を評価、選択する理由は、一から考えて判断する負担を大幅に減らすことができるからです。
始めて見たものに関しては、それは、安全なのか? どのように使うのか? 何のために使うのか? など多くのことを考え、自分にとってどんな存在であるかを判断する必要があります。
よく、赤ちゃんは、物事の類似性に関する経験が少ないことから、同じ犬でも見た目が全く異なる、シェパードとチワワは別の生き物として認識してしまうようです。
赤ちゃんは、これから脳に多くのデータを蓄積する必要があるのでこのような認識の過程を経ますが、大人になってもこれをしていたら、毎日が疲れてしまいます。
ですので、人は、ソファはこんな形、色、感触、ベッドはこんな形、使い方、椅子は…とそれぞれのものに対して、これという基準を頭の中に作って、判断していくのです。
そして、このように同じカテゴリー内のものに対して、対象のものが典型性が高い(共通する特徴を多く持っている)と、消費者はそのものに対して、高い評価を行い、ファンになったり、購入という行動を起こすことができるのです。
これは、典型性の高い商品に対しては、脳がスムーズに情報処理が行え、判断できることによるある意味、その商品へのご褒美的な評価と言えます。
しかし、ハイブランドの商品や、イノベーティブや画期的な商品の場合、逆に典型性が低いものが好まれるという研究結果もあります。
引用:日比恒平 24 November 2017早稲田大学大学院商学研究科
3.ホームページでの典型製の影響
物として、手に触れることができる商品については、典型性についての、絶対的な法則はなく、見る角度を変えることで、典型性が高いと、効果が高かったり、典型性が低くても、効果が高くなるという研究結果でした。
では、スクリーンの中の2次元の情報媒体である、ホームページではどうでしょうか?
ホームページ自体は実際に手で触れることはできません。訪問者ができることといえば、表示されている情報をスクロールやクリック等で確認し、必要に応じてクリックやタップで自分の目的を果たすのみです。
つまり、物理的な商品とは違い、実際にその物を触ることで体感できないというデメリットがあります。
ホームページの役割の第一目的は、情報が訪問者に伝わることです。
この第一目的を達成するためには、まず、訪問者が安心して情報を取得できる状態を実現させる必要があります。
つまり、ホームページでは、同じ業界内で、80%同じデザイン、構成であればあるほど、訪問者は、情報の判断に費やす脳内のリソースを無駄に使わなくて済むので、情報の取得、にすぐに集中できるのです。
例えば、現在多くのビジネス系のホームページでは、パソコンで閲覧する際には、上部に2段、あるいは3段の電話番号や住所、などが記載されているヘッダー領域と、その下に、サイト内の主要なページへ遷移できるナビゲーション部分があります。
そして各サイトで多少前後しますが、最新のニュース一覧、そして、サイトマップ的なフッター領域があると安心して閲覧できると感じるのではないでしょうか?
しかし、これが、デザイナーがオリジナリティや奇抜性を追求して、全く異なる構造のホームページとなっていたらどうでしょうか?
訪問した時点で、違和感を感じ、心落ち着いて情報を確認する集中力が少し落ちてしまうでしょう。
構造が通常見慣れてきたものと違う、というストレスからそんな心理状態になってしまいます。
これでは、ホームページの第一目的を達成することが、難しくなり、離脱や、企業が意図する訪問者の行動が取られなくなってしまいます。
ホームページのデザイナーは日頃から膨大な量のデザインを蓄積し、審美眼のレベルが一般人とは大きく異なります。
つまり、一般の訪問者はそれほど多くのサイトを見ていないがために、サイト自体への審美眼のギャップが生じるのです。
そこで、ホームページのデザインの典型性を実務に取り入れる上では、デザイナーは想定する消費者が知覚しているデザインの典型性をイメージしてデザインを行う必要があります。4.あなたの業界のホームページの典型性を確認する5つのチェック項目
それでは、実際にあなたの業界でのホームページの典型性は何を確認していけばよいのでしょうか?
それは、以下の5つのポイントになります。
- どんな構造になっているのか?
業界のホームページの構造を把握しましょう。
トップページの構造、他のページには何があるかなどを確認します。
- ナビゲーションの項目数はいくつあって、どんな項目があるか?
これも少し構造面とかぶるところがありますが、トップページ上部にある、ナビゲーション部分にどんな項目があるのかを確認します。
それを確認することで、トップページからすぐに遷移できるようにするページには何を設定しているのかを把握できます。
- サイト全体で何色使われていて、配色はどのようになっているか?
色に関しては、まずは、背景となっているベースカラーは何色か、そして、そのサイトの第一印象となるメインカラー、そして、CTAボタンに使われているアクセントカラーには何を使われているのかを把握していきます。
- 画像はイラストを使っているか、写真を使っているか?
あなたの業界の他社のホームページでは、写真の画像を使っていますか? それとも、イラストがメインになっていますか?
それを確認してみてください。
イラストがメインの会社が多かった場合は、あなたのホームページでもイラストを使うようにします。
- インタラクティブ機能はあるか?
電話番号の部分をタップするだけで電話ができるタップコールが実装されているでしょうか?
病院や美容院、サロン、ヨガ教室、飲食関係などでは。予約管理システムと連携しているホームページが多くあります。
これらのシステムを設置した方が良い業界なら、競合他社が行っているようにサイト上に設置していきます。
そして、最近では多くの業界で、Line登録の機能も見かけますね。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
企業のホームページを作成する際やリニューアルの際には、最新の斬新なオリジナリティがあるデザインにした方が目を引くし、効果がありそうと、考えることもあるでしょう。
しかし、人の認知や典型性への影響を考えると、ホームページは同業他社と80%同じものを作ったほうが効果があります。
同業他社と同じようなサイトを訪れることにより、訪問者は、情報がどこにあるのかが直感的にわかり、これにより安心感を得て、あなたのホームページに対しての信頼性も上がります。
信頼性が上がるからこそ、ホームページで訴求していることが訪問者に受け入れられやすくなるのです。
つまり、それは最終的な結果として売上の向上につながっていきます。
今回の記事が、今後のホームページ運用の参考になれば幸いです。
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